2007年 06月 28日
留学生活を振り返って |
たった2週間ほど前の卒業式がまるで遠い昔の出来事のようだ。
9年間Supply Chainの仕事をしていく中で、新入社員として入社し仕事をしていた時ほどの新しい知識の吸収や経験の蓄積がなくなり、自分自身の専門分野の「広がり」に限界を感じていたこと、物事を判断する際、論理的・数字的な根拠に基づくのではなく常に感覚的な直感に基づいているという不安感、そこから脱するための取っ掛かりが今回の留学であった。新入社員の時ほど新しい知識に触れる機会がないというのは、それだけ自分自身が成長していることの証であるとも言えるし、経験に基づく直感による判断も否定するべきものではないのだが、何かもう少し違ったアプローチや思考プロセスがあるのではないかと思うのだが、それが何であるのか分からないのである。
この「とらえどころのない」目的がMBA留学で果たせるのかどうかは、こちらに来てみるまで、そして全プログラムをある程度終えてみるまでわからなかったというのが正直なところだが、終えてみるとこの目的がそれなりにきちんと達成できていることに驚いた。当然ながら、MBAを取ったからと言ってすぐに全てを正しくズバズバと判断できるようになるわけでも、何事にも万能になるわけでもないのだが、自分にとっての新しい視点、考え方、アプローチ法など、オプションを増やすことができたこと、これまでどちらかというと経営と言うよりも実務にどっぷりと浸かっていたため、企業とは、経済とはこんなふうに成り立っているのだと言うややマクロな視点を学ぶことができたことは今回の大きな収穫だろう。それは、この授業を取って学んだ、とかいうテクニカルなものではなく、やはり20科目の授業を取る中で総合的に学んだもののような気がする。MBA留学がテクニカルなものを身につける場ではないことは理解していたものの、これほど総合的に身につけるものであるとは留学前には予想していなかったことだ。
入学前までは、なぜ今でもB-Schoolで学ぶのはToyotaであり、Zaraであり、Dellなのか、もっと新しい事例はないのかとずっと疑問に思ってきたが、2年間のプログラムを終えて数々のケースを経て今思うのは、学ぶべきはそれら企業のプロセスそのものではなく、その根底に流れている発想の転換や従来の考え方からの脱却であるということ。そういう意味では上記3社はトピックとしては旬を過ぎた今でも学ぶべき事柄が多くある。今大成功している企業が今後どうなるのか、今素晴らしいと賞賛されている技術が数年後どう変わっていくのか、そんなことを予測することは誰にも不可能だが、その不確実な将来を見据えて今何をすべきなのか、どんな体制を作っていくことが重要なのか、数年前からそういった準備を怠らずにやってきた企業が今どれくらい着実に伸びているか、B-Schoolとはそういった観点から物事を広い視野で総合的に分析できるようトレーニングされる場であるように思う。
7月から、昨夏インターンをした外資系ヘルスケアメーカのSupply Chain部門で、社会人として再スタートすることになった。留学前・留学後で自分の仕事へのアプローチにどんな違いがあるのか、そもそも違いなんていうものがあるのかまだわからないが、2年間に学んだこと、経験したことを携えながら、まずは目の前の仕事に一つ一つ取り組むのみである。
世の中にはMBAという学位や留学に過大な期待を寄せる人もまだまだ多いと思うが、実際にはさほど特別なものではなく、今後の仕事の仕方や生き方を自分にとってより良くするための一つの手段に過ぎないということ、それでも学校で学ぶ内容だけでなく、学生として海外生活で得る経験が自分の視野やキャパシティを広げる上で有効な手段であることを、より多くの人に理解していただき、もっと身近に感じてもらえたらと思う。
当初このブログは日本にいる友人知人に近況をお知らせするための手段として始めたのだが、留学生活の中で日々感じたこと、勉強面においても生活面においても、をブログにまとめて書きとめておくことは、自分自身の考えを整理してまとめる上でもとても役に立った。また日本に帰国し日々の仕事に追われると、留学時に感じたこと、学んだことの新鮮な記憶が薄れていくだろうが、備忘録として、折々振り返る上でもきっと役に立つツールだろう。
MBA卒業生の中には卒業後もブログを継続する方々も多いが、小学校の遠足のように、「家に帰るまでが遠足」ということで、無事日本に帰国し留学生活が終了したことによりこのブログは役割を完遂したため、これをもって終了とさせていただきたいと思う。
ご愛読いただいた皆様、そして留学生活を支えてくださった数々の皆様に心より御礼申し上げます。どうもありがとうございました。
そしてこれからもオフラインで末永く宜しくお願いいたします。
2007年6月 初夏
9年間Supply Chainの仕事をしていく中で、新入社員として入社し仕事をしていた時ほどの新しい知識の吸収や経験の蓄積がなくなり、自分自身の専門分野の「広がり」に限界を感じていたこと、物事を判断する際、論理的・数字的な根拠に基づくのではなく常に感覚的な直感に基づいているという不安感、そこから脱するための取っ掛かりが今回の留学であった。新入社員の時ほど新しい知識に触れる機会がないというのは、それだけ自分自身が成長していることの証であるとも言えるし、経験に基づく直感による判断も否定するべきものではないのだが、何かもう少し違ったアプローチや思考プロセスがあるのではないかと思うのだが、それが何であるのか分からないのである。
この「とらえどころのない」目的がMBA留学で果たせるのかどうかは、こちらに来てみるまで、そして全プログラムをある程度終えてみるまでわからなかったというのが正直なところだが、終えてみるとこの目的がそれなりにきちんと達成できていることに驚いた。当然ながら、MBAを取ったからと言ってすぐに全てを正しくズバズバと判断できるようになるわけでも、何事にも万能になるわけでもないのだが、自分にとっての新しい視点、考え方、アプローチ法など、オプションを増やすことができたこと、これまでどちらかというと経営と言うよりも実務にどっぷりと浸かっていたため、企業とは、経済とはこんなふうに成り立っているのだと言うややマクロな視点を学ぶことができたことは今回の大きな収穫だろう。それは、この授業を取って学んだ、とかいうテクニカルなものではなく、やはり20科目の授業を取る中で総合的に学んだもののような気がする。MBA留学がテクニカルなものを身につける場ではないことは理解していたものの、これほど総合的に身につけるものであるとは留学前には予想していなかったことだ。
入学前までは、なぜ今でもB-Schoolで学ぶのはToyotaであり、Zaraであり、Dellなのか、もっと新しい事例はないのかとずっと疑問に思ってきたが、2年間のプログラムを終えて数々のケースを経て今思うのは、学ぶべきはそれら企業のプロセスそのものではなく、その根底に流れている発想の転換や従来の考え方からの脱却であるということ。そういう意味では上記3社はトピックとしては旬を過ぎた今でも学ぶべき事柄が多くある。今大成功している企業が今後どうなるのか、今素晴らしいと賞賛されている技術が数年後どう変わっていくのか、そんなことを予測することは誰にも不可能だが、その不確実な将来を見据えて今何をすべきなのか、どんな体制を作っていくことが重要なのか、数年前からそういった準備を怠らずにやってきた企業が今どれくらい着実に伸びているか、B-Schoolとはそういった観点から物事を広い視野で総合的に分析できるようトレーニングされる場であるように思う。
7月から、昨夏インターンをした外資系ヘルスケアメーカのSupply Chain部門で、社会人として再スタートすることになった。留学前・留学後で自分の仕事へのアプローチにどんな違いがあるのか、そもそも違いなんていうものがあるのかまだわからないが、2年間に学んだこと、経験したことを携えながら、まずは目の前の仕事に一つ一つ取り組むのみである。
世の中にはMBAという学位や留学に過大な期待を寄せる人もまだまだ多いと思うが、実際にはさほど特別なものではなく、今後の仕事の仕方や生き方を自分にとってより良くするための一つの手段に過ぎないということ、それでも学校で学ぶ内容だけでなく、学生として海外生活で得る経験が自分の視野やキャパシティを広げる上で有効な手段であることを、より多くの人に理解していただき、もっと身近に感じてもらえたらと思う。
当初このブログは日本にいる友人知人に近況をお知らせするための手段として始めたのだが、留学生活の中で日々感じたこと、勉強面においても生活面においても、をブログにまとめて書きとめておくことは、自分自身の考えを整理してまとめる上でもとても役に立った。また日本に帰国し日々の仕事に追われると、留学時に感じたこと、学んだことの新鮮な記憶が薄れていくだろうが、備忘録として、折々振り返る上でもきっと役に立つツールだろう。
MBA卒業生の中には卒業後もブログを継続する方々も多いが、小学校の遠足のように、「家に帰るまでが遠足」ということで、無事日本に帰国し留学生活が終了したことによりこのブログは役割を完遂したため、これをもって終了とさせていただきたいと思う。
ご愛読いただいた皆様、そして留学生活を支えてくださった数々の皆様に心より御礼申し上げます。どうもありがとうございました。
そしてこれからもオフラインで末永く宜しくお願いいたします。
2007年6月 初夏
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by bridge333
| 2007-06-28 00:00
| 学校生活